
YOASOBI(ヨアソビ)は、「小説を音楽にする」というコンセプトで活動している男女2人組の音楽ユニットです。
メンバーは、コンポーザーのAyaseとボーカルのikura。
彼らの音楽は、強烈なメッセージ性と感情的な深さを持ち合わせ、日本だけでなく世界中で注目されています。
YOASOBIは、2019年10月1日に結成して、配信限定のシングル曲「夜に駆ける」でデビューしました。
約半年後の2020年4月に、LINE MUSICの月間ランキングで初の1位になります。
ショート動画アプリ「TikTok」や「YouTube」などで若い世代の支持を得て爆発的に広がっていき、現在のような注目を集める音楽ユニットに成長してきました。
2025年3月16日に放送されたNHK総合「NHKスペシャル 新ジャポニズム 第2集 J-POP “ボカロ”が世界を満たす」にAdo、YOASOBI、きくお、初音ミクが出演しました。
番組の中でYOASOBI Ayaseが、自身のルーツであるボーカロイドについてコメント。
今回の記事では、Ayaseのルーツ「ボカロ」について解説していきます。
Contents
YOASOBIも出演 「NHK総合スペシャル 新ジャポニズム」
「NHK総合スペシャル 新ジャポニズム」とは
「新ジャポニズム」は横浜流星がナビゲーターとなり、世界を熱狂させている日本のカルチャーの魅力を深掘りする番組です。
2025年3月16日放送の第2集では、日本発の音楽カルチャー“ボーカロイド”を特集し、イギリス、メキシコ、インド、タイといった世界各地のファンやクリエイターを取材しました。
その中でAyaseは「今の僕は“ボカロ”がないと存在しない。
ボカロをやってきていることが、僕のベースの大事なものとして残っている」と語っています。
ボカロPというアーティスト
まだボーカロイドが発売されたばかりの当時は、ボカロ曲を作り投稿する「ボカロP」たちは「趣味の延長」という感覚で見られていました。
それが、ハチ(米津玄師)をはじめ、実力派アーティストとして次々に世に羽ばたいていく人材を生み出したとして、ボカロPが立派な職業、アーティスト、ミュージシャンとして注目されていきます。
ボカロPは、顔出しせず、本名や年齢などの素性を隠して楽曲を投稿することが可能です。
それゆえに、より素直で自由度の高い音楽表現が実現できます。
これにより、視聴者の心を鷲掴みにするような魅力的でセンセーショナルな曲が次々に生まれたと考えられます。
ボーカロイドを用いた新たな「音楽表現・自己表現」は、ひとつのアート、そしてカルチャーとして市場を拡大し続けています。
その中で躍進するボカロPたちの活躍に、今後も注目したいところです。
YOASOBI Ayaseの曲折を経た歩み
ピアノに明け暮れた幼少期
小学校時代、熱心にピアノに取り組み、ショパンが好きだったAyase。
「コンクールにしっかり出るくらいガチガチにやっていました。生活の中心でしたね」
2021年のショパン国際ピアノ・コンクールで4位に入賞した小林愛実と同郷で、同時期に同じ指導者に師事。
Ayase自身も、周囲から期待されるほどでした。
しかし、進んだ音楽の道は、ピアノではありませんでした。
バンド活動
「小6くらいでEXILEに憧れて歌手になりたいと思った。
中2の頃にはマキシマムザホルモンの音楽に出会って、バンドはめっちゃ格好いい、バンドでやっていこうと考えたんです」
16歳の頃にロックバンドでの活動を開始。
ボーカルや楽曲制作の中心となり、福岡や広島で、さらに東京にも範囲を広げてライブを繰り広げていきました。
現在に通じる美しいメロディーをラウドロックで響かせましたが、バンドは2018年秋に活動休止となってしまいます。
Ayase24歳のことでした。
ボカロとの出会い
この「お先真っ暗の状況」という中で出会ったのが、歌声合成ソフト「ボーカロイド」。
「妹がボカロ曲を聴いていたのがきっかけ。
こんな世界も広がっているんだと感じつつ、これなら自分一人でパソコンでできるかもしれない、一緒に活動してくれる人もいない状況だったので、チャレンジしてみたという感じですね」
ピアノやバンドのアンサンブルの世界から、新たな時代の音楽へ。
「音楽が好きでやっていたので、バンド的な曲もボカロでやればいい。
抵抗は何もありませんでした」
気負いなくパソコンに向かって楽曲を制作する中で、培った音楽性と潜在力が一気に花開きます。
2018年12月にネット上に曲を投稿し始め、2019年4月の発表曲「ラストリゾート」などが、従来のボカロ文化の曲とは一線を画す鮮烈な音楽性で注目されました。
この曲を耳にしたソニーのスタッフから声がかかり、秋にはボーカリスト、ikuraとともにYOASOBIを結成することになるのです。
ボカロへ転じて1年足らず。
激変の時代にも引き寄せられたかのような、すさまじいスピードでした。
まとめ
Ayaseがピアノを習っていなかったら、バンド活動が休止していなかったら、そしてボカロと出会っていなかったら、と考えるとその出会いは運命としか言いようがありません。
すばらしいエピソードに称賛の拍手を贈りたいです。