
米津玄師は、いま10代20代から熱い支持を受けているミュージシャンです。
2009年頃に、「ハチ」という名義でニコニコ動画にボーカロイド楽曲の投稿を始めました。
「マトリョシカ」や「パンダヒーロー」などの楽曲が注目を集め、ボーカロイドシーンでその存在感を確立。
2012年5月には、本名である「米津玄師」名義で初のアルバム『diorama』をリリースし、メジャーデビューを果たしました。
肩書はシンガーソングライター、音楽プロデューサー、イラストレーター、映像作家と、多岐に渡っています。
米津玄師の楽曲「1991」(ナインティーンナインティワン)は、2025年10月10日公開の、新海誠監督のアニメーション映画を実写化した映画『秒速5センチメートル』の主題歌として書き下ろされました。
では、タイトル「1991」の意味とは?!
今回の記事では、映画『秒速5センチメートル』の内容や楽曲「1991」の歌詞にも迫り、米津玄師の表わしたかった”世界観”についてレポートしていきます。
Contents
米津玄師 『秒速5センチメートル』との出会い
2025年8月21日、新海誠原作、奥山由之監督による実写映画『秒速5センチメートル』の主題歌として、米津玄師が「1991」を書き下ろしたことが発表となりました。
新海誠による原作『秒速5センチメートル』
『秒速5センチメートル』は、2007年3月3日に公開された新海誠監督によるアニメーション映画です。
米津玄師はこのアニメーション映画と、子どもの頃出会ったと言います。
「秒速5センチメートル」は、ひとりの少年を軸にして描かれる、独立した3本の作品(「桜花抄」、「コスモナウト」、「秒速5センチメートル」)からなる連作短編アニメーションです。
時代は1990年代前半から現代までの日本。
場所は少年の人生に沿って、東京や地方のいくつかを変遷します。
この作品には、他の多くのアニメーション作品に見られるようなSFやファンタジーなどの架空の要素は登場しません。
そのかわり徹底したロケハンを行い、今この現実をアニメーション表現の中にすくい取ろうと試みています。
誰もが通り過ぎゆく日常をすくい取った、切なくも美しいラブストーリーのキャッチコピーは、「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」。
「秒速5センチメートル」の意味するところは、あるいは雪を思わせもする「舞い散る桜の花弁」が地面に向かって落ちゆく速度だということです。
米津玄師のコメント
映画を試写で初めて見させてもらった時、冒頭から終わりまで全てのカットに奥山さんの熱意と執念が滲むその出来栄えに「すごいものを見た」という興奮をおぼえました。
子供のころ原作と出会い、数年まえMV監督としての奥山さんと出会い、やがて映画監督にもなった彼がこのような素晴らしい映画を撮り、そこにわたしの居場所があったのが嬉しくてなりません。
映画の為に書き下ろした曲であるのはもちろんですが、先述の経緯による影響もあってか同時にわたしの半生を振り返るような曲にもなってしまい、映画のキーワードでもあるところの1991というタイトルにさせてもらいました。
どうかよろしくお願いします。
米津玄師 「1991」
米津玄師が子どもの頃に出会ったアニメーション映画『秒速5センチメートル』。
17年の年月を経て、米津玄師はその実写映画の主題歌を手掛けることになります。
2025年8月21日、米津玄師が手がける主題歌「1991」の歌詞の一部が、YouTubeチャンネル『東宝MOVIEチャンネル』にて主題歌入り映画予告映像で公開されました。
楽曲タイトル「1991」の意味
主人公・遠野貴樹の心に深く刻まれている、ヒロイン・篠原明里と出会った1991年の日々。
そして、米津玄師自身と監督である奥山由之の生まれた年も1991年。
と考えると、1991は個人的な原点を思わせる象徴的な数字だとわかります。
「1991」の歌詞は、主人公の心の動きを繊細に描いており、映画の世界観と深くリンクしています。
「君の声が聞こえたような気がして 僕は振り向いた」は、失われた誰かへの未練や、すれ違った過去への想いを表しており、まさに『秒速5センチメートル』のテーマと直結しています。
「君といたかった 雪のように ひらりひらり 落ちる桜」という歌詞からは、思い出が時間とともに消えていく情景が浮かんできます。
原作の世界観をリスペクトしながら、主人公に自らを重ねて描いたのが「1991」だということが、『秒速5センチメートル』予告2の中の切り取られた楽曲だけでも十分伝わってきました。
「1991」は、記憶、喪失、そして再生といった『秒速5センチメートル』の核心を、美しくも痛切な言葉で描いたラブソングなのです。
まとめ
米津玄師の音楽は、いつもながらの繊細さと深さを持っており、「1991」もその例外ではありません。
彼の歌声とメロディーは、映画の感動的なシーンをさらに引き立て、観客を物語の世界に引き込む力を持っています。
「1991」のフル音源を全編通して聴ける日も、間もなくでしょう。
映画の公開と同時に米津玄師の主題歌にも期待をしつつ、筆を置きたいと思います。